【弁護士が解説!】労災保険給付申請の手引き

労働災害に関する一連の流れ

治療中の方

①労災認定を受ける

【労働災害として認定されるには?】
労働基準監督署に書類を提出する
怪我や病気が発⽣した際に勤めていた会社の所在地を管轄する労働基準監督署を調べ、各種給付書類を提出する必要があります。
書類にて怪我、病気発⽣当時の状況を報告し、その報告に基づいて調査が⾏われ、労働災害と認定されると、
労災保険給付を受けることができます。
※該当する労働基準監督署は厚⽣労働省HPより確認することができます
 >>こちらをチェック

労働災害と認定される基準
認定されるか否かの基準は以下の2つです。
「業務遂⾏性」:労働者がケガや病気をした時、労働契約に基づき、事業主の⽀配下にある状態で業務をしていたかどうか
「業務起因性」:怪我や病気の原因が仕事にあるのかどうかという要件

②労災保険給付の申請をする

【給付の種類】

療養給付(指定医療機関で治療をしている場合)
怪我や病気の治療費が⽀払われる給付です。
療養給付を請求するには、怪我や病気の治療を受けている医療機関を経由して、
「療養補償給付たる療養の給付申
請書」(通勤災害の場合には「療養給付たる療養の給付申請書」)を提出する必要があります。


療養給付(指定医療機関外で治療をしている場合)
受けた治療に応じて、「療養補償給付たる療養の費⽤請求書」(通勤災害の場合、「療養給付たる療養の費⽤請求書」)を
提出する必要があります。それに加え、⽀払った費⽤の「領収書」を添付しなければいけません。


休業補償給付
療養のため労働することができず賃⾦を受けられない場合に⽀給されます。
治療を受けている医師に、怪我や病気で働けなかった期間の証明を受けた上で、
「休業補償給付⽀給請求書」(通勤災害の場合、「休業給付⽀給請求書」)を労働基準監督署⻑に提出します。
通勤災害の場合には、事故発⽣⽇に、⾃宅からどのような経緯で事故発⽣場所に⾏った状況を詳しく記⼊する必要があります。
休業補償給付の額は、給付基礎⽇額(通常、平均賃⾦に相当する額)の60%です。

治療終了・症状固定となった方

後遺障害等級の認定を受ける

【給付の種類】

障害(補償)給付
労災によって怪我または病気となって治療をしたものの、最終的に⼀定の障害が残っていた場合に⽀給されます。
障害(補償)給付の⽀給内容は、障害の程度により1級から14級までに区分されています。
障害等級第1級∼第7級に該当する場合毎年もらえる年⾦型の⽀給になります。
障害等級第8級から14級に該当する場合は、認定の際にもらえる⼀時⾦の⽀給となります。
「障害補償給付⽀給請求書・障害特別⽀給⾦⽀給申請書・障害特別年⾦⽀給申請書・障害特別⼀時⾦⽀給申請書」
に必要事項を記載し、労働基準監督署⻑に提出します。


【弁護士のポイント解説!】
障害等級は、医師の診断書と、⾃⼰申⽴書をもとに決定します。
医師が書く診断書に不備・不⾜、適切でない表現が含まれると、
本来⾒込まれる等級とは違う等級で認定されてしまう場合があります。
また、⾃⼰申⽴書もその時々の症状を適切にポイントを押さえて記載する必要があります。
さらに、会社を訴え、損害賠償の請求をお考えの場合には障害の等級が1段階あがるだけで、
会社に請求できる慰謝料などが数百万円以上増額することもある為、専⾨知識のある弁護⼠への相談をお勧めします。
>>等級の一覧表はこちら
>>当事務所のサポート内容はこちら

治療開始から1年6ヶ月経過した方

【給付の種類】

傷病(補償)給付
労災によって怪我を負った、または病気になった際に、その治療が1年6か⽉を経過しても治らず、かつ、
その時点での傷病の状態が傷病(補償)年⾦を受給できる状態にあたる場合に⽀給されます。
1年6ヶ⽉が経過したその後1カ⽉以内に「傷病の状態等に関する届」を労働基準監督署⻑に提出します。


※傷病(補償)年⾦の⽀給要件を満たしていない場合
傷病(補償)年⾦の⽀給には要件があります。
・傷病が治癒(症状固定)しないこと=1年6ヶ⽉経過してもまだ治療中であること
・傷病等級が第1級から第3級のいずれかに該当すること
これら満たしていない場合は、毎年1⽉分の休業補償給付を請求する際に、
「傷病の状態等に関する報告書」を併せて提出する必要があります。

会社への損害賠償請求をお考えの方

会社に損害賠償請求する意義

労災保険での不足分をカバーできる
労災保険の補償には治療費を負担する療養給付
働くことができない期間の給料を補償する休業補償給付
亡くなった場合の遺族補償給付、後遺障害が残った場合の障害補償給付などがあります。
療養給付により病院での標準的な治療費は全額カバーされますが、休業給付については給料の60%
上乗せ分として⽀給される休業特別給付を加えても80%までしか補償されません。
しかし、会社から損害賠償を受けることができれば不⾜分がカバーできます。
労災の被害者が⾦銭的に困窮するこ
となく、安定した⽣活を送ることが可能です。

弁護士に相談するならどのタイミングが良い?

できるだけ早いタイミングで弁護士にご相談ください。

労働災害に遭われてしまった場合、治療や労災保険の給付申請の対応、事業主との交渉など、考えなければならない点が多く、何から手をつければ良いかわからないという方が多く見受けられます。また、「自分にも過失があるから…」ということで、何も行動を起こされないという方もいらっしゃるようです。

労働災害は、労働基準監督署へ労災保険の給付申請をし、給付を受けたらそれで終わりとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、事故の発生状況及び原因に応じて、事業主に対して慰謝料を請求できる可能性があります。また、その金額についても、弁護士が介入することで、当初の提示額より大幅に増額するケースが多く見受けられます。

当事務所ではこれまでに50件以上の労働災害の相談を受けてまいりましたが、災害発生直後の対応に不備があったために後遺障害が認定されなかったケースや、会社の過失について立証することができずに、低額の賠償金額で示談をせざるえないケースも見てきました。交通事故事案と違い、後遺障害の認定については、等級の妥当性を争う件数は多くありませんが、事故発生時の状況や証拠の有無について、会社とトラブルになるケースがあります。

事故の責任について会社側が一切認めてこない場合もありますが、災害発生直後から事実関係を的確に整理できていれば、多くのケースで慰謝料を請求することができます。逆に、災害発生から間が空いてしまうと、事実関係の整理ができなくなる危険性があります。

当事務所の労働災害問題解決の特徴についてはこちらをご覧ください。