退職しないで労災申請や損害賠償をすることはできる?

■ 労災に遭ったけれど、労災申請をしたら会社にいられなくなるのでは?
■ 会社に損害賠償請求したら、解雇されるのではないか?
■ 労災申請や損害賠償をするなら、退職後の方が良いの?

企業によっては、従業員が労災申請をすることに顔をしかめることがあります。
ましてやその会社相手に損害賠償をするとなると、会社にいられなくなるかもしれないと不安になるのもやむを得ません。
しかし労災申請や損害賠償をするために退職する必要はありません。

今回は、退職せずに労災申請や損害賠償請求できる理由を解説します。

1.労災や損害賠償請求は「解雇理由」にならない

一般に、労災や損害賠償請求をすると解雇されると考えている方が多数おられます。

しかし、これらの請求によって解雇されることはありません。

雇用者が被用者を解雇するには、客観的に合理的な理由と社会的に相当な手段という厳しい要件が課されますが、労災申請も損害賠償請求も、これらの要件にあてはまらないからです。
労災申請や損害賠償請求は、正当な労働者の権利なので守られなければなりません。

もしも企業が解雇したら明らかに不当解雇ですので、争うことが可能です。
あなた自身が自主的に退職しない限り、解雇される心配は不要です。

2.労災や損害賠償請求を理由とする不当な処分も無効

労災申請や損害賠償請求などの正当な権利行使をしたことによって会社があなたを降格させたり減給処分にしたりした場合、そういった処分は無効となります。
解雇だけではなく不利益な取扱いも許されないからです。
心配せずに権利行使しましょう。

3.労災の休業中や休業明けは解雇が禁止されている

労災に遭うと、仕事ができなくなって休業し「休業補償給付」を受けとることが可能です。
その場合、休業中や休業明けの30日間は、会社は労働者を解雇してはならないと法律で定められています。
労災を適用して長期間会社を休んでも、解雇される心配はありません。

4.不当な退職勧奨も認められない

会社によっては、解雇はしないけれど、あなたに会社を辞めるように圧力をかけてくる可能性があります。
このような退職の不当な強要は、違法な退職勧奨として認められない可能性が高いです。
決して退職届には署名押印せず、できるだけ会社から退職を迫られたときの証拠をとっておきましょう。

そして弁護士にご相談いただけましたら、然るべき措置をとって企業の責任を追及することが可能です。
もちろん会社を辞める必要はありません。
在職中でも退職後も、労災の申請や損害賠償請求は可能です。
ただし、時効もあるので、早めに請求するのが望ましいと言えます。
労災に遭ってお悩みであれば、まずはお気軽に弁護士までご相談ください。

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