飛来(落ちてきたものに当たった)事故の損害賠償

「落ちてきた(飛来してきた)ものに当たって怪我をした」という事故は、きわめて頻繁に発生し、重症化してしまうケースも枚挙にいとまがありません。建設業や製造業、運送業などの現場で特に顕著によく見られる事故の態様です。

クレーンでつり上げた鋳型から木型を取り出す作業中、鋳型が崩落して死亡
床上用研削盤を用い研磨作業を行っていたところ、といしが割れ、その破片が胸部を直撃
プレス機械で作業中、加工品を上型から外すために置いた安全ブロックが飛来し死亡
トラックの荷台から廃材を荷降ろし作業中、崩れ落ちた廃材の下敷きになり死亡

上記のように、高い位置からの落下物が直撃し、重大な怪我を負ったり、お亡くなりになる事故が後を絶たないという現状があります。

会社、元請けに対する損害賠償が可能なケースも

前述の通り、重症化しやすい事故ですから、相応の補償(数百万円から数千万円)がなされることが少なくありません。

また、労働現場の管理責任について「安全配慮義務違反(社員が安全で健康に働くことが出来るように配慮する義務)」や「不法行為責任(事故の原因が企業の活動そのものを原因とするような場合や、労働現場の建物・設備に危険があった場合などに認められる責任)」などを根拠として会社、元請けに対して多額の損害賠償請求が認められるケースも多いのです。

しかしながら、このことを知らずに、労災保険からの給付のみを受け取って終えてしまっている方が多いのもまた事実です。

他の従業員の失敗・過失により怪我を負った賠償はどうなる?

同じ現場で作業していた方が落としたものに当たった」というケースはとても多くあります。
このような場合、責任は誰にあるのでしょうか。

勿論、落としてしまった本人に落ち度はあります。
しかし、労災事故の現場における「責任」は、使用者(=会社)に対して追及され、損害賠償が行われることがほとんどなのです。
これを「使用者責任」(民法715条)と呼び、会社に対して損害賠償を行う際の根拠となります。

当事務所にご依頼いただいた事例
当事務所でも、落下飛来事故の被災者の方にご相談いただき、会社への損害賠償を行ったケースが数多くあります。

とあるご依頼者様(30代男性)は、コンテナで重さ約40kgの麻袋を運ぶ作業をしていました。
ご依頼者様と一緒に作業をしていた作業員が誤って麻袋をご依頼者様がいる方向に上から落としたため、麻袋がご依頼者様の後頭部に当たり、頸椎症性神経根症・頸椎捻挫(いわゆる「むちうち」)を負いました。

このケースでも、使用者責任を根拠に、会社に対して損害賠償義務があること自体は比較的明白でした。
ご依頼後、労働局から取り寄せた労災資料を分析して、裁判基準に基づいて損害額を計算して、会社に対して損害賠償請求をしました。

会社側は、ご依頼者様の過去の肘の治療歴から後遺障害が残ったのはその肘の怪我も寄与しているとして、賠償額の減額(素因減額)を求めてきました。
しかし、当方で資料をそろえて反論したところ、裁判所の和解案では会社側の素因減額の主張は排斥されました。

結果として、会社との間で、約800万円で裁判上の和解が成立しました。

会社・元請けに対して過失を追求するために

先述の「使用者責任」以外にも、労働災害においては様々な角度から「事故を起こさないために全力で被害者の安全に配慮したのか」という検証が行われます。

しかしながら、会社や保険会社とのやり取りはとても煩雑で殺伐としたものであり、初めて労働災害に遭われた方がそれを行うのは困難をきわめますし、事故態様に関する資料の収集も容易ではありません。

また、損害の計算も容易ではありません。
どういった損害を請求できるのか、慰謝料がいくらなのか、仕事が出来なくなったことに対する補償の計算はどのようにするのか、将来介護費は請求できるのかなど専門的知識が必要です。

ほとんどの方が労働災害に遭うこと自体初めての経験ですから、ご自身ではよく分からないことが多く、どのように交渉を進めればよいか悩ましく、お忙しい中で非常にストレスに感じられることと思います。

また、会社側も「労働者(=あなた)」に過失があった」というように、「過失相殺(割合)」などの主張をしてくる場合が少なくありません。
そのような時にも、弁護士はあなたの味方となり、適切な主張を行います。

弁護士は、労働災害の賠償についても熟知しており、こういった複雑なやり取りはお手のものですから、ご依頼いただくことでこれらを一挙に担い、スピーディーに進めることができます。
墜落・転落事故に遭われた方やご遺族の方は、是非一度ご相談ください。

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